M&Aの主な手法

M&Aとは

Mergers&Acquisitionsの略で直訳すると合併と買収。

企業の経営権を他社から取得するか譲渡すること。
中小企業の後継者問題の有力な解決策として、事業継承型M&Aが活発に行われている。

株式譲渡とは

買い手が売り手企業の発行済み株式を譲り受けることで、会社の経営権を譲り受ける方法です。

中小企業のM&Aでは、全株式(100%)を譲渡する形が一般的となっています。
社名や取引先、賃貸人、従業員等との契約関係が従前どおり引き継がれるため事業価値が毀損せずに引き継がれ、手続きも簡単なので最も多く用いられる方法です。

事業譲渡とは

会社の全部あるいは事業の一部の部門や資産などを他の会社に譲渡する方法です。

事情があって法人を残しておきたい場合や株式譲渡が難しい場合、特に店舗の譲渡を行なうときなどには良く用いられる方法です。

譲渡の対価は株主ではなく会社に入り、譲渡益に対しては法人税がかかります(実効税率約33%)。そのため、時期や税金対策についても考えておくことが必要になります。
(株式譲渡の場合は譲渡益に対し、約20%(所得税15%、地方税5%)です。)

個別に取引先との契約、従業員との雇用契約、賃貸借契約等も新たに締結しなおす必要があるため、その過程で取引先との契約が上手く引き継がれない等の事業価値が毀損するリスクがあります。

上記の株式譲渡、事業譲渡の2つの方法が最も良く用いられており、とくに事業承継に際しては、『株式譲渡+退職金』という形がその中でも王道であると言われています。

株主であるオーナー経営者が変わるだけなので、取引先や従業員が安心できるようなしっかりとした会社が買い手となり、然るべき引継ぎがなされれば見た目には取引先や従業員にもこれといった急激な変化が生じないことから、手続きが簡単で事業価値が毀損することなく承継できる可能性が最も高い方法です。

ただし、どの手法が良いかは、事業の状況や特性、財務内容によっても違ってくるのでケースごとに検討は必要となりますが、中小企業の場合には複雑でないシンプルなスキームが良いでしょう。