国が運営するM&A・事業継承の公的窓口、東京都事業引継ぎ支援センター

  

 

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M&Aお役立ちコラム

|第2回 中小・小規模企業のM&Aの際の株価の考え方

深刻化する中小企業の事業後継者問題。事業継承の対策についてアドバイスします。(全5回)

1.便利で簡単な評価方法
 自社の企業価値(株価)はM&Aで譲渡する場合にどの程度の評価になるのか、また逆に譲渡を持ちかけられた場合、売り手に対して、いくらと条件提示すれば良いか、といった相談が当センターには多く寄せられます。実際の中小企業のM&Aの交渉過程で目安となる簡易な評価方法をご紹介します。

株価(企業評価額)=時価純資産+営業権(のれん)
※営業権(のれん)=実質利益の1~3年分程度

 ここでいう「実質利益」とは、例えば多額に受け取っている役員報酬や、支出している私的経費や交際費、節税のため保険などを使って圧縮している利益などを加味し、数値を適正にして算出した、実質ベースの営業利益を指します。
 また、営業権はかつて、実質利益の3~5年分といわれていた時代もありましたが、リーマンショック以降は、総じて評価されにくくなり、現在は1~3年程度が相場となっているようです。なお、事業のマーケットが縮小している業種、M&A市場に買い手があまりいない業種の場合には、営業権がゼロ、またはマイナス(売買額が純資産を割り込む)となってしまうこともあります。
 上記の計算方法は時価修正した純資産に営業権を加えるシンプルなものですが、中小・小規模企業のM&Aを行う際の企業価値の基本的な考え方です。ただ、あくまで目安なので、実際の交渉では双方の意向を調整して決まった金額がその会社の株価になります。

2.DCF法について
 企業評価算定を業務としている公認会計士やコンサル会社などが良く用いる計算方法としてDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)があります。理論的ですが、この計算方法には将来の事業計画をどう作るか、割引率をどう設定するかで、算定される価値が大きく変わる特性があります。端的に言えば正確な事業計画があってはじめて有効な評価方法ということです。
 中小・小規模企業では事業計画を作っているケースが稀なことに加え、従業員が数人、十数人程度の規模の会社には上記のような業績変動要素が数多くあります。計画値と実際の業績が乖離する可能性が高い小規模企業の評価にはあまり適さない方法と言えるでしょう。

<業績変動要素>
●社長の交代時に属人的な関係が引き継げず、取引先が無くなった。
●取引先が倒産し、取り引きがなくなり、売掛金の一部回収が出来なかった。
●上得意先からの仕事が大幅に減った。大幅な値引きを余儀なくされた。
●優秀な人材が転職、退職、独立してしまった。

3.中小・小規模企業の特性
 中小企業の企業価値を考える際に忘れてはいけないのが、現経営者への依存度です。顧客が社長個人についているケース、社長が細かなところまで目を光らせているからこそ、利益が出ているという会社もあります。
 中小企業は少なからず社長の属人的な能力に依存して成り立っている面があり、M&Aで会社を承継したとしても、前社長には会長として残り、しばらく業務を引き継ぎいでもらったり、取引先との関係や運営ノウハウ、経験などを可能な限り承継してもらうことが、企業価値を引き継ぐためには必要です。

東京都事業引継ぎ支援センター サブマネージャー 竹内 寛暁

掲載:東商新聞 2012年9月10日号